キエーロとは?

■キエーロは生ごみが消えるコンポスト



コンポストについて調べていると、あちこちで出てくる「キエーロ」。
キエーロとは、「生ごみ消えろ~」から命名された湘南生まれのコンポスト。

実際やってみると、生ごみがほぼ全量消えて、中の土がほとんど増えないことに驚きます。

生ごみを埋めていくだけで、堆肥の取り出しや基材の交換がないコンポストなので、とても楽にできるところがキエーロの魅力です。

この記事では、


 ①キエーロのしくみと特徴

 ②メリット、デメリット

 ③使い方

 ④自分で作るには?

についてお伝えします。

①キエーロのしくみと特徴

「キエーロ」は土の中に生ごみをいれて分解するコンポスト。

1998年に神奈川県葉山町に住む松本信夫さんが考案され、その使いやすさから全国にユーザーが広がっています。

■生ごみを楽に分解するために工夫された構造

キエーロは簡単なしくみで効率よく生ゴミを分解します。
ポイントはふたつ。

 その1 上部に透明なふたをつける。



太陽の光を内部の土にあてて温めることによって、分解を促進します。冬場は特に有効です。


  その2 サイドに隙間を作って風を通す




空気の流れを作り、内部の土の表面を乾かします。乾いた土には消臭効果があり、臭いをブロック。虫も集まりにくくなります。

②キエーロのメリット・デメリット

■メリット1 土の交換が必要なくランニングコストゼロ

キエーロに生ごみをいれ続けても、中の土はほとんど増えず、ずっと交換の必要がありません。

他のタイプのコンポストでは、生ごみを混ぜるベースとなる基材や分解を活性化させるための微生物資材を定期的に購入する必要があるものが多いのですが、キエーロはそれがないため、ランニングコストがかからず、手間も少ないのが特徴です。 (もちろん、電気代もかかりません。電動式の生ごみ処理機では、月々の電気代が数百円~1000円かかります。)

生ごみの8割を占める水分は蒸発。残りの部分も微生物が食べてしまい、微量のミネラルしか残らないため、土は目に見えるほど増えないのです。

特別な菌は必要なく、土1グラムに数億以上もいる多種多様な土壌微生物が生ごみをどんどん分解します。

中身の土は使っているうちに、微生物たっぷりの肥沃な土になっていき、野菜を元気に育てる土としても使えます。(その場合は、使った分の土を足します。)

■メリット2 比較的失敗が少ない

 

土に生ごみを埋める作業の繰り返しのため、テクニックやスキルがあまり必要ありません。中に投入する生ゴミも自由度が高く、おおらかなコンポストです。

他のコンポストでは、知識や熟練が必要なこともあります。例えば、堆肥を作っていくタイプのコンポストだと、温度管理や混ぜる基材の配合に気を使ったり、みみずコンポストであればミミズが活動できるように管理していく必要があります。

●デメリット1 場所をとる

キエーロで生ゴミを分解するにはある程度の量の土が必要なため、どうしても場所をとってしまいます。
家族が4人以上など、生ゴミがたくさん出る場合は、土が100ℓ以上はいるキエーロが必要です。(この記事の後半に、生ごみ量と土の量の目安を記載しています。)


●デメリット2 初期費用が比較的高い


木製の本格的なキエーロは、3万円以上で販売されていることが多いです。

「え、生ごみをいれるものにそんなにかけるの?」と思うかもしれません。

でも、キエーロ制作では、大きな家具と同じくらいの材料と手間をかけ、職人さんが丁寧に作っています。ですので、エクステリア用の手作りの家具(もしくは設備)を選ぶような気持ちで見ていただければと思います。

ただ、実は、メリット1で書いたように、ランニングコストがかからない(基材交換がない)ので、2~3年使うと、実は他のコンポストと同額くらいのコストとなるんです。しかも、基材交換にともなう手間がずっとないこともあわせると、キエーロを選ぶメリットは大きいと言えます。

りんご箱をリメイクしたキエーロなど、小さいサイズ(家族1~2人用)であれば、1万円台で入手できますよ。

  ⇒コンポストフレンズでもキエーロを販売しております。こちらがキエーロ販売ページです。
大型キエーロからりんご箱をリメイクしたものまでいろいろありますので、ぜひ、ご覧ください。手作りワークショップも開催しています。

地域によっては、購入時に市区町村の生ごみ処理機助成金を使うことで、5,000~20,000円程度の補助が受けられます。ぜひ、お住まいの自治体にお問合せください。(当店でもお調べしますのでお気軽にお問合せください。)

③キエーロの使い方

■使い方は簡単。1~3日に一回、生ごみを埋めるだけ



①キエーロの中をいくつかの区画に分けます。

②表面の乾いた土をよけてから、穴を掘ります。 生ごみがすっぽり埋まるくらい、深めに掘ると良いです。そこに生ごみを入れます。
③生ごみをしっかり、周りの土と混ぜます。
 最初にちょっと土をかぶせ、容器をすすいだ水を上からかけ、ちょっとドロドロになるようにすると混ぜやすいです。水分多めのほうが分解も速くなります。

④穴を埋め、よけておいた乾いた土をかけて、終了です。
 生ごみが全部見えなくなるまできちんと土をかけると、臭いや虫を防げます。


■使うときのコツは二つ!

1)生ごみを小さめに刻んでおく。
 小さければ小さいほど分解が速くなります。一口大以下程度にすると安心です。慣れれば、まな板の上でささっと刻んでから生ごみを貯める容器にすぐいれておしまいです!

2)常に、土の表面に生ごみがでていない、乾いた状態を保つ。

土を密閉せず、風と太陽にあてるのがキエーロの特徴。こうすることで、臭いの心配がほとんどありません。しっかり埋めることで虫も来にくくなります。

■生ごみはほぼ何でもOK。揚げ油や料理の残りもいれられる。

人間が食べるものはほとんど分解でき、揚げ油やカレー残りなど調理したものの食べ残しもいれることができます。玉ねぎの外皮や卵の殻など分解が遅いものもありますが、しばらくするとなくなっていきます。貝殻だけはずっと残ってしまうため、いれないでください。

■土が多いほど分解量もアップ。

分解できる生ごみの量は、キエーロにいれる土の量に比例します。100ℓ以上なら、毎日300~400g(3~4人家族)、70~80ℓなら毎日100~150g(1~2人家族)が目安。また冬場は温度が低いため、分解が遅く、分解量も減ります。その場合は、細かく刻んでいれるなど、分解しやすくすると良いです。

④自分で作るには?


●キエーロを手作りすることもできる!


キエーロの公式普及団体「キエーロオフィシャル」HPにキエーロの作り方が掲載されています。その他にもエコ活動を推進する団体が作り方をHPなどで紹介しています。

キエーロは、木で作った箱に、斜めに透明なふたをとりつければできますので、木工に慣れている方は簡単に自作できますよ。

小さめサイズになりますが、古いりんご箱を使ってキエーロを手作りするのも人気です。
大きなキエーロを導入する前に、こんな可愛いキエーロでお試してみるのも良いですね。(ちなみに、私も最初はりんご箱から始めました。)


とはいえ、木工初心者で電動工具が家にない場合は、材料を揃えて作るのがなかなか大変です。
当店では、りんご箱キエーロの手作りワークショップを開催しています。木工経験のない方も手ぶら参加できます。
詳しくはこちらをご覧くださいませ。



■「キエーロ」はキエーロ葉山の登録商標です。

■当店でも、キエーロを販売しております。
 キエーロ商品ページはこちらです。

筆者:コンポストコーディネーター/コンポストフレンズ店主
西川美和子


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